読書は対話だとよく言われる。
では、その対話とはどんなものだろうか?
私にとってそれは、お笑いコンビの漫才のような対話。脳内で著者とお笑いコンビを組むというものだ。あなたはツッコミ、著者はボケだ。
読書術で悩むな
ここで問いたい。
あなたはこの記事をどのように読んでいるか。文章を読むという点では読書と同じだが、あなたはどんな心持ちでこの文章を読み始めたか。
メモ片手に読む、すべての内容を暗記しようとする、特に何も考えていない、など様々だろう。おそらく、その人がこの記事に求めるものによって、やることは変わるだろう。
読書術に優劣はほとんど存在しないと私は考える。
家電製品のような、誰が見ても「不良品!!」のような事象は読書術にはない。
どんな読み方をしてもその人が求めるものは概ね満たせる。人が読書に求めるもののほとんどは、暗記や自分の成長、新たな価値観を生む、アマゾンレビューを書く、ブックオフに早く売るぐらいだ。どれも何となく読んでいても達成できそうなものが多い。
ここで言いたいのは、読書術にシビアになりすぎないこと。読書中の脳の何割かを読書術の吟味に使わないことだ。
ツッコミメカニズム
そのうえで、なお読書術の吟味に脳内が永遠と反芻し続けるのであれば、なにか1つ読書術を決めなくてはならない。
そこで私が発明した読書術「ツッコミ読書術」だ。
ツッコミは、実はなかなか知的な動作なのだ。
相手が言っていることを咀嚼し、それに対して自分なりの見解を加える。芸人さんの場合は、それに笑いの要素も加えなくてはならないから相当複雑なメカニズムだ。
ここでのツッコミは笑いを求める普通のツッコミとは違う。
私が言う「ツッコミ」に一番近いのは、よく本の中で「○○氏は、この現象をこう名付けた。」のような、専門家が造語を作るようなものだ。
読書とはなんだ
私にとって「読書」とは本を読むことではなく、自分の興味のあるキーワードを理解することなのです。本は、あるキーワードを描画している媒体です。
オードリー・タン
彼は著書でそう述べている。
例えば、ベストセラーの本「スマホ脳」を一単語で表すと何だろうか。私は「人間の欲望」だと考える。
そして、それを文章、段落、文とレベルを下げながら行う。
つまり、私の提唱するツッコミ読書術は、本を「キーワードの描画」として認識する彼の考えを、行動できるように変換した読書術だ。
文章をあなた自身で「単語」化し、その「単語」に命名するのだ。文章を咀嚼し、著者に「単語」という形でツッコむのだ。
読書とは単語づくり
ツッコミ読書術を表すのに最も近い言葉は「要約」だ。
しかし、ただの要約とは違う。
要約した内容にタイトルをつける。
step1 突っ込もう
ここからは実際にツッコミ読書術のやり方を紹介する。
では、例を挙げよう。
あなたはこの文章をどう咀嚼し、どうツッコム?
「新しいテクノロジーを生み出すのは、だいたいベンチャー企業、つまりスタートアップだ。」
「大組織の中で新しいものは開発しづらく、独りではさらに難しいからだ。」
ピーター・ティール『ZERO to ONE』関美和 訳、NHK出版
「1000ピーズのジグソーパズルとマックのナゲット5ピース」
これは実際に私が文章に対してツッコんだ単語だ。
エクセルの2列目には、この単語の意味が書いてある。
「大企業などの大組織では各自が制限されるが、ベンチャーなどの少人数組織では各自が自由に創造ができる。ベンチャーは新たなものを生む。」
ジグソーパズルの各ピースは無機質で薄っぺらいが、完成すると美しい。
マックのナゲットはおいしいがいつも少ないと感じる。
大企業とベンチャーをそれらでたとえて単語化したのだ。
単語は必ずしもあなたが作る必要はない。あなたの造語ではなく、すでに存在する単語でも構わない。
しかしこれだけでは「ツッコミ読書術」は終わらない。
step2 つなげよう
文章を要約するだけではなく、単語で表して記録するのには大きな理由がある。
それは要約同士をリンクさせるためだ。
例えば、さきほどの「1000ピーズのジグソーパズルとマックのナゲット5ピース」から、どんな単語が派生できるか。
それは同じ本の中からとは限らない、検索ツールを使ったり、誰かにチャットで聞いたって良い。
派生した単語を思い付いたら、今度は記録しよう。
記録には、マインドマップが作れるツールを利用する。
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マインドスターは、直感的なデザインで、テンプレートを活用しながら思うがままにマインドマップが作成できる。
step3 活用しよう
そんなにあなたがその本に感動したなら、行動に起こそう。
マインドマップの中から、印象的な単語をgoogle検索にかけて「本」という区切りから脱する。
また、得たものがどのように行動に移せるか、リストアップしよう。
ここまでやる必要があるわけではない。あなたにとってその本が必要不可欠なら、そうするべきだ。
おつかれ
以上がツッコミ読書術のすべてである。
この読書術は時間を要する。
ゆっくり読め、しかし数を求め、たくさんの本を読むことが大切。
さあ、あなたは次の読書をどうデザインする?